「10/10・定額」の補助金は、レアすぎて見逃される
公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO)が公募する「国プロジェクトステップアップ支援事業」。上限500万円と金額は小さめだが、補助率が10/10(全額補助)・定額支給という点で極めて珍しい制度。
通常、補助金は1/2〜2/3の補助率が大半で、残り半分は自己資金が必要。10/10は「研究費を丸々出します」という意味。国プロジェクト(NEDO、SBIR、AMED等)への挑戦を想定したFS(実用化可能性調査)に使える、石川県の秘蔵の枠と言っていい。
制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | 国プロジェクトステップアップ支援事業 |
| 実施主体 | 公益財団法人石川県産業創出支援機構(ISICO) |
| 対象事業者 | 石川県内に本社/事業本部/開発部門を持つ企業、または県内外企業・大学・公設試による2者以上の連携体 |
| 補助率 | 定額 10/10(全額補助) |
| 上限額 | 5,000千円(500万円)(千円単位・端数切捨て) |
| 対象経費 | 直接人件費、旅費、機械装置費、クラウドサービス利用料、材料・消耗品費、外注委託費、技術指導費、知的財産権関連経費、大学・公設試共同研究費 |
| 補助対象期間 | 最長1年 |
| 公募締切 | 令和8年6月12日(金)午後4時必着 |
現場の本音:FSフェーズに使える稀有な制度
この制度がユニークなのは、「本番の国プロに出す前の実現可能性調査」に使える点。多くの補助金は「すぐ市場に出せる開発案件」を求めるが、この制度はまだ仮説段階の研究でも使える。
具体的には:
- NEDOの先導研究プログラムに出す前の技術調査
- 経産省のSBIRに出す前の要素技術検証
- AMEDの医療系研究に出す前の市場性調査
- 大企業の研究所と連携した基礎的な共同研究
「国プロに挑戦したいが、事前調査に自己資金を割けない」中小企業にとって、500万円全額を調査費に充てられる設計は極めて貴重。
対象経費の充実ぶりに注目
以下のような経費が対象になっているのも、この制度の特徴:
- 直接人件費: :研究者の給与を補助対象にできる
- クラウドサービス利用料: :AWS/GCP/Azureでの実験環境構築費など
- 知的財産権関連経費: :特許出願費用など
- 大学・公設試共同研究費: :産学連携の予算にできる
これだけ幅広い経費対応は、他の自治体補助金ではほぼ見ない。実質的には研究開発活動そのものをカバーできる設計。
狙い目の応募パターン
パターン1:石川県内の製造業×大学共同研究
県内の製造業が、金沢大学・石川高専・公設試(産業技術総合研究所石川等)と組んで、基礎技術のFSを行う。この組み方なら、後のNEDO・AMED本公募への接続も描きやすい。
パターン2:県外企業が石川の開発部門を活用
石川県内に開発部門・研究拠点を持っていれば、本社が県外でも申請可能。これは拠点戦略で石川に開発R&Dを誘致させたい県の意図とも整合する。
申請で意識すべき点
補助率10/10の制度は、使途報告や成果報告が厳格なのが相場。申請書で示した研究項目と実施結果の紐付けが細かく求められるため、研究計画をきちんと細分化して記載することが重要。
また、「国プロへの接続」が制度の主旨なので、採択後1年以内にどの国プロ(NEDO〇〇/SBIR〇〇)に応募するかを申請書段階で明示すると、審査評価が上がりやすい。
※本記事の情報は2026年4月23日時点の公開情報に基づきます。最新の公募要領は必ず[ISICO公式ページ](https://www.isico.or.jp/site/shinseihin/nationalprofs-r8.html)でご確認ください。