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申請ノウハウ8分で読める公開: 2026-04-30

SBIR推進プログラム 2026年版攻略法──フェーズ1〜3の段階戦略と政府調達につなぐ設計

中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)はディープテック・研究開発型スタートアップにとって最大級の制度。フェーズ1〜3の段階戦略・採択基準・政府調達につなぐ設計を解説。

この記事のポイント

中小企業イノベーション創出推進事業(SBIR)はディープテック・研究開発型スタートアップにとって最大級の制度。フェーズ1〜3の段階戦略・採択基準・政府調達につなぐ設計を解説。

研究開発のイメージ
SBIR推進プログラム

まず結論:SBIRは「3年で政府調達につなぐ補助金」と捉えるべき

SBIR推進プログラム(中小企業イノベーション創出推進事業、Small Business Innovation Research)は、米SBIR制度の日本版。中小企業庁が主管し、各省庁が指定する課題テーマに対する研究開発を支援する制度だ。

ディープテック・研究開発型スタートアップにとって、最大級の研究開発資金源。ただし、単発で取りに行く制度ではなく、フェーズ1(FS)→ フェーズ2(実証)→ フェーズ3(事業化)と段階的に取りに行く設計が前提。

本記事は、SBIR の段階戦略と、フェーズ3の最大の目玉である「政府調達」につなぐ設計を整理する。


SBIR推進プログラムとは

制度の位置づけ

中小企業イノベーション創出推進事業は、令和3年度から始まった国の制度。各省庁(経産省・国交省・環境省・厚労省等)が指定課題(テーマ)を提示し、それに対する研究開発を中小企業から公募する仕組み。

米SBIR制度(Small Business Innovation Research)を参考に、日本独自の段階的支援+政府調達連動の設計が組み込まれている。

3つのフェーズ

フェーズ補助額期間目的
フェーズ1数百万〜数千万円半年〜1年フィージビリティ・スタディ(FS)
フェーズ2数千万〜数億円1〜2年実証実験・実用化研究
フェーズ3政府調達 or 上限なし2年〜事業化・調達化

主管省庁

中小企業庁が制度設計を統括するが、各省庁が指定課題を提示する形:

  • 経済産業省
  • 国土交通省
  • 環境省
  • 厚生労働省
  • 農林水産省
  • 防衛装備庁(特に注目)

フェーズ1〜3の段階戦略

フェーズ1:フィージビリティ・スタディ

目的:技術的実現可能性の検証

補助額:数百万〜数千万円

期間:半年〜1年

#### フェーズ1で達成すべきこと

  • 技術コンセプトの検証
  • プロトタイプの基礎開発
  • 想定顧客・市場規模の精査
  • フェーズ2に進むための事業計画の策定

#### フェーズ1の採択ポイント

  • 指定課題への合致性:各省庁が提示する課題に直接答える
  • 技術的新規性:既存研究との差別化が明確
  • チームの実行力:研究者・技術者の質
  • フェーズ2への発展性:単発で終わらない事業計画

フェーズ2:実証実験・実用化研究

目的:実用化レベルでの実証実験

補助額:数千万〜数億円

期間:1〜2年

#### フェーズ2で達成すべきこと

  • 量産プロトタイプの開発
  • 実環境(顧客環境・実証フィールド)でのデータ取得
  • 量産体制の検討
  • 知財戦略の確立

#### フェーズ2の採択ポイント

  • フェーズ1の成果:フェーズ1で何を実証したか
  • 実証フィールドの確保:実環境での検証パートナー
  • 量産・販売計画:事業化への道筋
  • 政府調達につながる可能性:フェーズ3への発展性

フェーズ3:事業化・政府調達

目的:事業化・政府調達による市場確保

補助額:政府調達契約 or 追加支援

期間:2年〜

#### フェーズ3で達成すべきこと

  • 政府機関(各省庁・自治体・公的機関)との調達契約
  • 民間市場への展開
  • 事業の収益化

#### フェーズ3の最大の意義

政府調達がそのまま市場になること。SBIR フェーズ3 で開発した技術・サービスを、政府機関が調達することで、民間スタートアップにとって「国家機関が顧客」というポジションが確立される。


SBIR が「3年計画」で考えるべき理由

理由1:フェーズ1単発では事業化に届かない

フェーズ1の補助額は数百万〜数千万円。これだけでは技術検証で終わり、事業化には到達しない。フェーズ2、3 への発展前提で設計しないと、研究開発資金が途中で枯渇する。

理由2:フェーズ1の成果がフェーズ2の評価に直結

フェーズ2 の審査では、フェーズ1で何を実証したかが最重要評価項目。フェーズ1 で計画通りの成果を出していないと、フェーズ2 では採択されない。

理由3:政府調達の交渉に時間がかかる

フェーズ3 で政府調達につなげるには、省庁・自治体との関係構築が必須。技術仕様の擦り合わせ・予算化・調達手続きで、最低でも1〜2年かかる。

→ フェーズ1 開始時点から、3年後の政府調達を見据えた設計が必要。


採択を狙う事業者へ:5つの戦略

戦略1:指定課題のリサーチに時間をかける

各省庁の指定課題は、国の政策的優先度を反映している。SBIR 公募開始前から、各省庁の白書・中期計画・予算要求資料をリサーチし、自社技術に合致する指定課題を見つける。

戦略2:省庁担当者との対話を始める

指定課題を出す省庁担当者との対話を始める。公募説明会・業界団体イベント・大学TLOの紹介経由で、現場の担当者の関心事項を直接聞く。

戦略3:フェーズ1から実証フィールドを確保

フェーズ1 段階から、実証フィールドの候補(公的研究機関・自治体・大企業)を確保する。フェーズ2 でいきなり実証パートナーを探すのは遅い。

戦略4:政府調達のためのチーム作り

フェーズ3 の政府調達には、入札・契約・納品管理のスキルが必要。技術チームだけでなく、営業・管理・法務のメンバーをフェーズ2 段階から組成する。

戦略5:認定コンサルとの長期連携

SBIR は3年〜の長期戦。1社単独で SBIR の段階戦略を組むのは難しい。SBIR 採択経験のある認定コンサルと長期連携することで、フェーズごとの最適戦略が組める。


認定コンサルの本音

「SBIR は本当に国家戦略文脈の補助金。各省庁の政策優先度を読み解く力がないと、表面的な申請になって落ちる。」

「ディープテック系のスタートアップで、SBIR フェーズ3 で政府調達まで到達した事業者は数少ない。逆に、フェーズ1〜3 を完走した事業者は、その後の VC 調達・他補助金獲得・大企業連携で圧倒的な優位性を持っている。」

「SBIR は『3年計画』が最低限。経営者が短期成果志向だと、フェーズ1 で力尽きる。長期戦に耐える経営判断ができる事業者向けの制度です。」


まとめ:SBIRは「ディープテックの登竜門」

SBIR推進プログラムは、ディープテック・研究開発型スタートアップにとって、国家戦略の文脈で資金・市場・信用を獲得できる極めて貴重な制度。

ただし、フェーズ1単発では事業化に届かない。フェーズ1〜3の3年計画で組み立て、政府調達を最終目標に据える設計が、本制度を最大限活用する道。

採択を取るためのポイント:

  • 指定課題のリサーチ
  • 省庁担当者との対話
  • フェーズ1から実証フィールド確保
  • 政府調達のためのチーム作り
  • 認定コンサルとの長期連携

ディープテックスタートアップで本気で SBIR を狙うなら、今この瞬間から各省庁の指定課題リサーチを始めるべき。


※ 本記事は2026年4月時点の制度情報をもとに作成しています。最新の指定課題・公募要領は中小企業庁および各省庁の公式情報をご確認ください。

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