「自社で作れる会社だけ」の制度設計
岩手県が「ヘルステック等製品化促進事業費補助金」の公募を開始。医療・介護・福祉分野の製品開発に1/2・最大150万円という入門サイズの補助金だが、「事業内容の全部または大部分を外注・委託する事業は対象外」という明確な線引きがされている。
制度概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | ヘルステック等製品化促進事業費補助金 |
| 実施主体 | 岩手県商工労働観光部ものづくり自動車産業振興室 |
| 対象事業者 | 岩手県内に生産拠点または開発拠点を有するものづくり中小企業<br>中小企業基本法に該当/不正経理・税滞納なし/暴力団無関係 |
| 補助率 | 補助対象経費の1/2以内 |
| 上限額 | 1,500千円(150万円) |
| 対象経費 | 直接人件費、謝金、旅費、事務経費、委託費、使用料・手数料、外注費、原材料費、機械器具費、負担金、ソフトウェア開発費、認証等取得費、知的財産権経費 |
| 対象事業 | 医療・介護・福祉分野で、指定デジタル技術またはものづくり基盤技術を活用した製品開発・事業化 |
| 公募期間 | 令和8年4月21日(火)〜5月29日(金)午後5時 |
| 事業期間 | 交付決定日〜令和9年2月26日 |
| 除外条件 | 事業内容の全部または大部分を外注・委託する事業は対象外 |
「外注中心はNG」の意味
この条件、岩手県の政策意図がはっきり表れている:県内に技術とノウハウを残したいということ。
対象外になるパターン:
- 製品企画だけ自社で、開発は県外のIT企業に全委託
- デザインは自社、試作・製造は完全に外部委託
- アイデアだけ持ち込み、実装はパートナー企業任せ
逆に、対象になるパターン:
- 県内のものづくり技術を活用した製品開発(自社製造がメイン)
- 県内の大学・公設試と共同で技術開発(外注ではなく共同研究)
- 自社が主体的に開発を行い、一部専門領域のみ外注
「ヘルステック」の範囲
医療・介護・福祉分野で活用される技術として以下が対象:
- 医療機器開発: :診断機器、手術支援機器、リハビリ機器など
- 介護用品: :自立支援ロボット、見守りセンサー、移乗補助機器
- 福祉機器: :車椅子、コミュニケーション支援機器
- 健康・予防領域: :ウェアラブルデバイス、健康管理アプリ
指定デジタル技術(AI・IoT・画像解析等)またはものづくり基盤技術(精密加工・新素材等)が絡む必要がある。
対象経費の幅広さ
補助率1/2・150万円と規模は小さいが、対象経費は非常に幅広い:
- 直接人件費(開発者の給与)
- ソフトウェア開発費
- 認証等取得費(医療機器承認等)
- 知的財産権経費(特許出願等)
- 原材料費、機械器具費
150万円の中で、開発費用のほぼ全てを対象にできる設計。
現場の本音:ステップアップ型の制度
この制度、いきなり大型のヘルステック補助金に挑戦するより、まず150万円枠で実績を作るという使い方が合理的。
岩手県内のものづくり中小企業が、医療機器分野に参入する第一歩として:
- この補助金で試作品を作る(1年目・150万円)
- より大型の国・県の補助金に挑戦する(2年目以降)
- 国プロ(AMED等)の大型研究費を取りに行く(3年目以降)
というステップが組める。
また、県内の岩手医科大学・岩手大学と連携すれば、産学連携の要素も加えられる。
こんな会社に向いている
- 岩手県内のものづくり中小企業(自動車部品、精密加工、電子機器等)
- 医療・介護・福祉分野への参入を検討している
- 自社で開発を主導できる技術力がある
- いきなり大型補助金ではなく、まず実績を作りたい
- 将来の大型ヘルステック補助金・国プロを視野に入れている
注意点
公募期間が5月29日までと短い(約1ヶ月強)。既にアイデア・試作段階の会社でないと間に合わない可能性が高い。
また、事業期間が令和9年2月26日までという1年弱なので、計画は前倒しで進める必要がある。
※本記事の情報は2026年4月23日時点の公開情報に基づきます。最新の公募要領は必ず[岩手県公式ページ](https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/monozukuri/iryoukiki/1098289.html)でご確認ください。